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河原 豊*; 関口 孝弘*; 西川 幸宏*; 長澤 尚胤
日本シルク学会誌, 23, p.67 - 69, 2015/03
蚕の液状絹を原料として凍結乾燥法により作製した絹エアロゲルは、再生医療用に利用可能な3次元構造を有するシルク細胞培養基材としての利用が期待されている。絹エアロゲルを生体内外で細胞培養する際に、その圧縮強度は重要な物性の一つであることから、絹エアロゲル中の水溶性セリシンの架橋効果を調べた。未処理とセリシンを除去処理した試料に線を10, 25, 50kGy照射し、照射前後の絹エアロゲルの圧縮強度について評価した。セリシン除去処理した絹エアロゲルは線量の増加とともに圧縮強度が低下したが、未処理絹エアロゲルでは逆に圧縮強度が増加した。50kGy照射した場合、未処理絹エアロゲルの圧縮強度は、未照射の2倍の0.3MPaになった。線照射によりセリシンに架橋構造が導入され絹エアロゲルの圧縮強度を改善できることから新規シルク細胞培養基材を作製できる手がかりを得た。
竹下 英文; 石田 一成*; 吉井 文男
放射線と産業, (90), p.19 - 23, 2001/06
最近絹を繊維以外の分野に応用する気運が高まっている。原研では絹の微粉末化と水溶化の研究を行っている。本稿では得られた成果と繭から絹を製造する工程について紹介する。繭はセリシンとフィブロインからなるが、通常はセリシンを除きフィブロインが絹の主成分である。照射効果の研究では絹くずを用いた。絹の微粉末化は、機械的粉砕のみでは困難であった。しかし、250kGy以上の照射の後ボールミル粉砕により径が100m以下の微粉末が得られた。微粉化粉砕では、分子量低下が起きるため、500kGy照射では60%が水に可溶になる。可溶成分の分子量は15,000~20,000である。絹は機能性のタンパク質であるため、生体適合性にすぐれており、本技術で得た材料は、化粧品や吸・放湿性、触感性を改善する添加剤としての用途が期待できる。